セックスの時に感じられるようになるために、マスターベーションで自分の気持ちよい場所を知っておく
診療を行っていると、患者様から「どうしたらオーガズム(セックスの際に性快感が次第に増大し、極点に達した状態のこと)を得られるようになりますか?」「性交痛は解消したけど、気持ちよくセックスをするためにはどうしたらよいですか?」という質問を受けることがあります。
元来セックスはパートナーとの愛情を深めるためのコミュニケーションのひとつなので、オーガズムを得られなくても楽しめればよいのですが、オーガズムを得られないことで自分に劣等感を感じたり、パートナーに申し訳ないと思ってしまうという女性が多くいます。
パートナーが、女性の性的な可能性を開発してくれれば良いのでしょうが、自分でも「自分が気持ちよくなる方法、場所」を知っておくためにマスターベーションをするという方法があります。
なぜなら、マスターベーションで自分の快感を開発することによって、セックスの時にもより快感を得られるようになるのです。
マスターベーションに対して、怖い、いやらしい、汚い、気持ち悪い、むなしいなど、抵抗感がある女性もまだ多いのですが、パートナー任せにしていてはいけません。
以下マスターベーションの方法について解説しますので参考にしてくださいね。
マスターベーションの方法
まずは脳が感じることが大切
女性は性的に興奮することで快感を得るような仕組みになっています。
いきなり性感帯を触ったとしても、性的な興奮をしていなければ大きな快感を得ることはできないのです。好きではない男性に胸を触られても、気持ち悪いだけで気持ち良くならないのはその為です。性的に脳が興奮していれば、普段はくすぐったいだけの身体の部位も快感を得る性感帯に変わります。
性的に興奮して脳からドーパミンが分泌されると、女性は様々な刺激を快感に変えます。
マスターベーションをおこなって快感を得るためにまず最初にすることは性的に興奮する事です。自分が性的に興奮できることを思い浮かべてください。セックスの最中の自分や、男性からささやかれた時のことなど、性的に興奮できることなら何でもよいのです。アダルト動画やエッチなマンガを見てイメージを膨らませても良いのです。
これらのことはより大きな快感を得るために必要なことです。
どんなことに自分が興奮するかを知ることによって、マスターベーションの時も、パートナーとセックスをする時も、快感のスイッチを入れられるようになります。
まずは脳が感じるようにすることが大切なのです。
自分のからだを知りましょう
セックスは本能的なもので、パートナーと何も考えずに行為に没頭してこそ最高の満足感が得られると考える人もいますが、まずは自分の性感を高めるためのポイントを開発し、理解し、更に高めていくために自分のからだを知っておくことが大切です。(図1)
ベッドに横になるか、椅子に寝そべるように座ってみましょう。鏡を使って自分の外性器を観察してみます。
大陰唇を左右に広げると、小陰唇とクリトリスの構造が見やすくなります。
2本の指で小陰唇を開き、少し上の方に引っ張るようにすると、クリトリスが包皮と粘膜から離れてはっきり見えるようになります。数センチ下に目をやると膣口があります。
あなたが処女の場合は環状の膜で狭くなっていますが、性交経験がある場合は、膣口の周りに裂けた後の処女膜が残っています。
目で見て確認した後は、触って性器の敏感さが部位によってどう違うかを確認しましょう。恥丘、大陰唇、小陰唇とクリトリスには、メルケル触板、マイスナー小体と呼ばれる接触を感じる事ができる受容器が分布しています。
クリトリスには圧覚を感じるパチーニ小体があります。小陰唇には数は少ないですが、接触を感じる事ができる受容器や圧を感じる事ができる受容器があります。
処女膜には痛覚を感知する神経が集まっています。膣壁の奥は触った感じは感知されませんが、何も感じないという意味ではありません。
膣の周囲にある筋肉が感覚を得られるので、それによって触られていること感じるのです。
指を膣の中に入れて恥骨の後ろ辺り全体を押してみましょう。この辺にGスポットがあります(図2)。
Gスポットはクリトリスと神経が繋がっていてこの部分を刺激することで快感を得る事ができます。
膣の奥には膣壁とは明らかに触った感じが違う子宮頚管(子宮口)があります。シワが無くなめらかで、コリコリとして硬い物を触ります。これが子宮頚管ですが、子宮頚管にはほとんど触覚がありません。子宮頚管の部分に少し圧力を加えると、子宮を揺らす事ができます。
子宮頚管を動かすと、腹膜の神経が刺激されて深い快感を得る事ができます。性的に興奮すると快く感じられることがあります(図3)。
マスターベーションをする時、どんな姿勢でおこなうと一番感じるのかも色々試して、自分が感じやすい姿勢を開発してみましょう。
セックスをする時にも感じやすくなるためには、実際のセックスで行う体位に近い姿勢でマスターベーションをすることをお勧めします。
例えば、足をギュッと閉じてしまったり、足を交差させて行うマスターベーションの方法で快感を得るようになってしまうと、実際のセックスの時に男性を迎え入れられなくなってしまいます(図4)。
したがって、足を閉じる姿勢は避けるべきでしょう。
クリトリスに触れて感じられるようにする
クリトリスは包皮に覆われています。性的に興奮すると、男性のペニスが勃起するのと同じように、女性のクリトリスも増大します。
片方の手でクリトリスを覆っている包皮を上に持ち上げて、もう片方の手で増大したクリトリスを刺激します。
クリトリスに対して、指先で下から上に撫で上げる、指先で押す、軽くたたく、つまむ、振動させるなど、自分に合った触り方を探してください。
膣を刺激する
膣や子宮頚管は出産に耐えられるように基本的には触覚はありません。ただし膣口付近の外陰部やGスポットには神経が集中していて性感に繋がります。
また、子宮頚管を動かすと腹膜の神経が刺激されて深い快感を得る事ができます。その部分を自分で触ってみたり刺激をしてみたりして、自分が気持ちよいと思う場所を探してみましょう(図3)。
脚をたてた仰向けか、お尻を突き出したうつぶせになって、指やディルド(大人のおもちゃのひとつで、勃起した男性器の形をした道具。
電動マッサージ機やローターと違い振動はしません)などの棒状の道具を膣の中に挿入し、子宮頚管に押し当てます(指を挿入する場合は指1本か2本を挿入します)。その後、指またはディルドを押したり離したりを繰り返します。または指やディルドを子宮頚管部に当てたまま前後に動かしてみます。子宮頚管を動かすと腹膜の神経が刺激されて、深い快感を得ることができます。
膣の入り口や恥骨裏のGスポット、膣の奥の子宮頚管部を刺激するときは、圧迫、振動、揺らす、手をすべらせるなど様々な刺激の仕方を組み合わせてみましょう。
オーガズムを感じると女性の身体はどのように変化するのか?
オーガズムとは、セックスの際に性快感が次第に増大し、極点に達した状態のことを言います。体の状態としては、
- 快感の強い高まりを感じる
- 呼吸が荒くなる、止まる、息苦しくなる、心臓がどきどきする
- 全身の筋肉が収縮する
- 骨盤のまわりの筋肉がリズミカルに痙攣する
という身体の変化が起こります。
大人のおもちゃの使い方
電動マッサージ機やローターなど、電気の振動による刺激に慣れてしまうと、実際のセックスで感じにくくなってしまうことがあります。
オルガズムがどんな感覚かを確かめるために振動する大人のおもちゃを使うことは良いのですが、性的な快感を得るために常用することはお勧めしません。
膣内を自己開発するときにディルドを使用することは、問題ないと考えます。
日本人の男性器の平均サイズ(勃起時)は13.56cm(男性器全体の長さ)、亀頭の直径3.53cm、男性器中間部の直径3.19cmです。ディルドにもさまざまなサイズがあります。日本人の男性器の平均に近いものを使用するのが無難な選択と言えるでしょう。
ディルドを使用する際には十分に洗って衛生的に使用しましょう。また、膣が乾きやすくて挿入しにくい方は潤滑剤を併用することをお勧めします。
潤滑剤はAmazonや楽天などで「潤滑ゼリー 女性用」や「ローション 女性用」で検索すると探す事ができます。自己開発するときはチューブに入った塗るタイプのものがお勧めですが、セックスの時に使用する場合は、アプリケーターのタイプで膣内に挿入するタイプのものがお勧めです。
(⇒ウエットトラストプロ)